看板の意外な事実

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様々な廃棄物を混合してつくったセメントのことを、エコセメントと呼んでいます。
エコセメントは、原材料のうち約半分を廃棄物で賄っています。
セメント最大手の太平洋セメントとNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構=経済産業省の傘下の技術開発部門)などが中心になって開発したもので、九八年度から実用段階に入っています。
太平洋セメントが二〇〇一年春から操業している「市原エコセメント」は、千葉県内で発生する一般廃棄物と産業廃棄物をセメントの原材料に使うことを目的にした、世界で初めてのエコセメント工場です。
なお同社では、二〇一〇年までに、バージン原材料をいっさい使わずに廃棄物一〇〇%でセメントをつくる課題に挑戦しています。
廃棄物の資源化への挑戦については、環境プラントメーカーの荏原製作所が日本原子力研究所と中部電力との共同研究として完成させた「電子ビーム排ガス処理装置」(略称EBA法)も、注目される技術です。
石炭や重油を使った火力発電は、廃棄物として硫黄酸化物(SOじゃ窒素酸化物(NOJを排出します。
NOXは煙突から大気中に排出され、太陽光に露されて酸化反応を起こし、硫酸や硝酸になります。
これが雨に混じったものが酸性雨です。
酸性雨の被害については、工章で指摘した通りです。
EBA法とは、有害物質であるこのNOXやSOXにアンモニアを吹き込み、その後特殊な電子ビームを照射することにより、窒素肥料である硫安や硝安に変える技術です。
酸性雨になれば、穀物や野菜などの食糧生産に打撃を与えますが、化学肥料に転換されれば、逆に食糧増産に寄与することになります。
「禍を転じて福となす」技術といえるでしょう。
この技術プラントは、中国・四川省の省都、成都にある石炭火力発電所で導入され八九七年秋から生産を開始しています。
日本でも、共同研究した中部電力の西名古屋発電所(重油)にEBA法の最新設備が設置されています。
この数年、目立って増えているのが「ごみゼロエ場」です。
ここでいうごみゼロエ場とは、埋め立て処分するごみを出さない工場のことです。
これまで工場内で発生する廃棄物は、ごみとして一括して集め、処理業者に埋め立て処理を委託してきました。
しかし最近では、最終処分場不足やそれに伴う処理費の急騰から、工場内で出るごみを素材ごとに細かく分別し、ごみとして処理せず、資源として別の企業に使ってもらう動きが強まっています。
すでに、キリン、アサヒなどのビール会社、富士ゼロックス、キヤノン、リコーなどの複写機メーカー、トヨタ、ホンダなどの自動車メーカー、さらにNEC、王子製紙、太平洋セメントなど様々な業種の企業が、ごみゼロエ場を実現させています。
二〇〇一年コー月に日本経済新聞社が行った環境経営度調査によると、回答企業八二〇社のうち、ごみゼロエ場を実現している企業数は七七社で、全体の一七・二%に達しています。
前年の調査ではわずか七七社(回答企業の一一%)だったことを考えれば、たった一年で二倍近く増えたことになります。
この数は、今後さらに増えてくると思われます。
ただ、ごみゼロエ場は、とりあえず自分の工場から出すごみを埋め立てに回さないことを目的にしています。
その工場から出る廃棄物を資源として引き取った企業が同じように自分の工場の廃棄物を分別し、それを資源として使ってくれる企業を探す。
そしてその企業がまた同じように廃棄物を分別し……という具合に、廃棄物の資源化の輪が広がっていかなくては、本当の意味のゼロエミッションとはいえません。
その意味でいえば、ごみゼロエ場の取り組みは、ゼロエミッションへ向かうほんの第一歩に過ぎません。
しかし、これまでの一方通行型の発想(埋め立て処理をすればそれで終わりといった考え方)を大転換させる動きとみるなら、大きな第一歩といえるのではないでしょうか。
大量生産↓大量消費↓大量廃棄といった拡大均衡型社会は限界に達しました。
これからは自然の利用量を減らしながら資源の生産性を上げ、生活の満足度を高めていく資源循環型社会を選択せざるを得ません。
環境樹[エコツリーー]は、資源循環型社会の発展に必要な総合的枠組みとビジョンを具体的に理解するのに最適です。
資源循環型社会については、二〇〇〇年五月に成立した循環型社会形成推進基本法の中で、「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷が低減される社会」と定義していることは、すでに指摘しました。
この定義は、物質循環[リアルフロー]に重点を絞り込んだ、きわめて狭義の定義といえるでしょう。
法律用語としてはこの定義でもよいのでしょうが、もっと広く歴史的な視野に立って、新しい地球文明を支える経済社会システムとして、循環型社会をしっかりと位置づけていかなくてはならないと思います。
人類五〇〇万年の歴史の大半を、私たちの先輩世代はワンウェイ(一方通行)型社会の下で生きてきました。
これに対し、私たちの世代だけは、ワンウェイ型の社会で生活することが許されなくなってしまったわけです。
なぜ先輩世代が長い間ワンウェイ型の生活様式を継承できたかといえば、人間の存在に対して地球が十分大きかったからです。
資源は使っても使ってもなくならず、有害廃棄物を自然界に排出しても、自然の浄化力が大きく、一定の時間が経てば、再び健全な自然に戻してくれました。
いわば、「無限で、劣化しない地球」の下で、人類は生きることが可能だったわけです。
しかし私たちの世代は、地球の限界に遭遇してしまったのです。
もはや、先輩世代のようにワンウェイ型社会を続けていくことができません。
私たちにとって地球は、「有限で、劣化する地球」に変わってしまったわけです。
有限で、劣化する地球の下で生きるためには、ワンウェイ型社会に代わる社会として、環境負荷の少ない資源循環型社会を目指さなければなりません。
循環型社会への移行は、人類史の中でこれまで経験しなかった大転換を意味しています。
比較文明の視点が必要循環型社会の歴史的な位置づけについては、比較文明論の大家、伊東俊太郎氏誉教授)の歴史観が参考になるでしょう。
伊東教授は、自らの著書『比較文明』版会)の中で、人類史を大きく五つに区分しています。
第一は、人類が二足歩行を行い、道具をつくり、火を使って人類としての歩みを始めたときです。
これを「人類革命」の時代と名づけています。
この時代は、約五〇〇万年前から一万年前まで続きます(『比較文明』が出版された一九八五年当時は、人類の誕生は約二〇〇万年前と考えられていましたが、その後古い人骨などが発見され、現在では約五〇〇万年前というのが定説になっています)。
第二は、人類が長い問続けてきた狩猟・採取生活をやめ、農業を営むようになったときです。
これが「農業革命」の時代です。
農業革命によって、人類は一力所に定住して計画的に食糧を生産するようになりました。
これも人類にとって画期的な変化になります。
この変化は、約一20万年前から五〇〇〇年前までの間に定着しました。
第三は、農業の生産性が上がり、一部の人々が都市で生活できる余裕ができた時代です。
メソポタミア、ナイル、インダス、黄河など大河の流域に栄えた四大古代文明がその時代を代表しています。
この時代が「都市革命」で、紀元前三五〇〇年から同二五〇〇年の時代です。

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